【映画化】余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話【ネタバレ感想メモ①】

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あらすじ:余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話

高1の冬、早坂秋人は心臓病を患い、余命宣告を受ける。絶望の中、秋人は通院先に入院している春奈と出会う。彼女もまた、重い病気でわずかの命だった。秋人は自分の病気を隠して春奈と話すようになり、死ぬのが怖くないと言う姿に興味を持つ。自分はまだ恋をしてもいいのだろうか?自問しながら過ぎる日々に変化が訪れー。儚い美しさと優しさに涙が止まらない、究極の純愛ストーリー。

あらすじより引用

普段は直感で読む本を決める私です。今回は、ふと目にしたポップに目を取られ、ついつい購入してしまいました。どうやら映画化もするらしい人気作ということで、期待を胸に膨らませてレジに向かいました。

私にとって恋愛感動系の小説の頂点は、中学生の頃に出会った「君の膵臓をたべたい」です。

個人的には感動ものの恋愛作品は好きなのですが、「きみすい」以来泣いたことがないんですね。なので、最近この感じのやつから足が遠ざかっていたんです。ですが、この本を手に取ったのも何かの運命。

「タイトルから見て設定は悪くない…」

一体どんな物語で私を震わせてくれるのか

こっからネタバレあり読んでない方は読まないでください。

①タイトル負けしない設定と物語

一つ目は、やっぱ設定がとても良かったかなと思います。

やはり、何度も比較に出して申し訳ないですが「きみすい」をはじめ、「片方が病気で..」だったり「死んじゃった..」というのはよくあるかなと個人的には思っているのですが、「両方病気で…」と言うのはとても新鮮でした。

まず読んでいて頭を支配するのは

「これどっちが先に死んじゃうんだろ..」

って部分でした。もちろんタイトルにもある通り、余命が長い方は主人公の早坂くんですから、普通に行けば先に春奈ちゃんが死ぬのかなとも思いましたが、自分の病気の事を隠していたのが早坂くんでしたので、「ひっそりと早坂くんが死んじゃって、春奈ちゃんが泣くことにもなるよな。物語的には..」と私なりに予想してました。

徐々に近づいていく距離感には興奮するものの、死と隣り合わせの二人の「期限付きの恋」でしたので、他の作品にはない緊張感が伝わってきました。どっちに転んでもいいように心の準備をしながら読み進めました。

設定という観点で言うと、個人的にはタイトル負けは無かったので大満足です。

このタイトルにしている以上は、どっちも死ぬか、死を乗り越えて片方が生きながらえるという未来になると思います。要は、誰かが辛い想いを抱えて生きていくことになります。正直それを考えるだけで胸が痛んでいました。まぁ、二人同士の死と苦しみという観点では、物語上で二人を強くする出来事として成長していくのが定石ですので、どっちかといったら、妹さんや幼馴染二人の気持ちを考えると、とっても胸が痛みました。特に絵里ちゃん..。心配して親身になってくれていた幼馴染なのに、何も知らないまま想い人が死んでしまう..。そう考えただけでもうツラい。しかも知らない場所でラブラブしてるんだから💢。幼馴染応援隊の一員としてはここは譲れないですね。しかし、この物語で責めるのはお門違いなので今回は置いておきます。

春奈ちゃんが死んでしまった時点で、私は「ああ、早坂くんと三浦さんは辛い思いを乗り越えて生きてくんだなー」と思っていたのですが、今回は三浦さんによる第三者目線でのエンド。

三浦さんが早坂くんに恋をすることで物語の着地がタイトルに負けないものになったかなと思いました。

春奈ちゃんが前向きに生きた想いと恋心。それを継いで前向きに生きようと奮闘した強い心。その全てを踏襲して生きてくれる大事な人がいるんですから、死ぬ運命にあった二人が一番報われる形になったんじゃないかなと思いました。

二人とも天国で幸せに暮らしているだろうから、三浦さんには二人の想いを継いで、生きて行ってほしいですね。

②早坂くんという人物

早坂秋人くんという人物。特別好感はないんですけど、恋をした等身大の男の子という点では、凄く親しみを感じることができました。

結局距離感は縮まれど、何一つだって進んでないんですよね。想いだって告げてないし、キスの一つもしていない。そして、花火だって一緒に見ていない…。死に際にもいてあげることができなかった。

結局あと一歩でも踏み出していれば、春奈ちゃんも幸せに逝けたかもしれないのに、何一つだって進まなかった、うじうじした主人公なんですね。あんまり好感を持たない人もいると思います。

でも男の純愛ってこんなもんじゃないですか?

と私は思っているのですが..。タイトルにもある通り「純愛」なんです。そんな大事な想いを簡単に表に出すことはできないと私は思っています。伝えることこそができないのならそれは美しい純愛だと思います。捉え方によるとは思いますし、都合の良いような解釈ですが、これもある種の純愛の貫き。こんな主人公が私は好きなんです。

「会えなかった」「できなかった」が積み重なって成長していけばいいんですから。

なんて言っておきます。まぁ、彼の場合は先が長くなかったので残念だと言うことになりますが、春奈ちゃんの死から生きることへの執着を得る点は、ありきたりですが、それが良かったです。

こういう主人公だからこそ、最後のブログに返信していく形の感動が産まれますから、早坂くんを許して欲しいです…。

③教訓

私は、何か作品に触れた時には、必ず学びを得ようと思って感想を書いているので、次は「教訓」という面から書きます。

【今回の教訓】
人の死は覚悟なんて軽い言葉で済ませられるものじゃない。『また今度』がない日々を過ごす。

なんて…。私はあまり身近で人が死んだことがないので、実感がわきませんが、人の死ってどんな風に受け止めたらいいのでしょうか。それが友人や想い人ならなおさら…。私は、芸能人にも疎くて、そういうニュースで悲しくなったことって正直ないんですね。「死」ってどこか他人事で、私の世界には存在しないものなんです。だからこれから歳を重ねていくにあたって、いつ死んでもいいような生活を送りたいなと思いました。自分の人生のためにも。そして、私を好きでいてくれる人(広義の意味で)のためにも。

終わりに

作者さんはこの作品がデビュー作だそうです。ちなみに結局泣くことはなかったのですが、面白い作品だったと思います。まあ基本的に今まで読んだ作品でつまらないものなんてないので、抽象的な評価になってしまいますが、自分に合わなくても、誰かが本気で創作したモノなら一切批判なんてありません。それがたとえ面白くなくてもです。つまらない部分を羅列するよりも、いいところを探したほうが人生楽しいですからね。

【余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話】個人的総合評価
3.7

今後も詠んだ本やアニメの感想を投稿していこうと考えています。その時にまたお会いしましょう。

余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話
余命一年と宣告された僕が、余命半年の君と出会った話