【心に浮かべる月は誰?】千歳くんはラムネ瓶のなか9巻ネタバレ感想【小説感想メモ⑪】

ー読書感想文ー

千歳くんはラムネ瓶のなか9巻ネタバレ感想

チラムネ9巻
チラムネ9巻

発売から少し時期が過ぎてしまいましたが、今回は千歳くんはラムネ瓶のなか第9巻のネタバレ感想レビューです。今回は学園祭(体育祭)編のクライマックスまでが描かれました。8巻からしばらくの時間が過ぎましたが、未だ私の熱は健在です。8巻の悠月が頭から離れません。

妖艶な暗雲姫の魅力を体感した夜。私もあの夜を越えて家の前の道路を走り回った記憶が蘇ります。恥ずかしいですが、それぐらい胸の高鳴りを抑えられなかったのです。

筆者
筆者

きっとそういう人ばかりなのではないでしょうか?

裕夢先生の遠回りで蒼い描写が胸に溶けていく。もう直に見ることもつらい(陽推しなので)展開が続いていますが、今回も期待度マックスで読みました。実はチラムネの感想を書く時が一番文字量が多くなるんですよね。チラムネの感想をブログに書くのは初めてですが、感想を書くまでがセット。

ここからはネタバレありで↓


北条なすの

二次元が住処のガチ体育会上がりオタク。仕事しながらアニメ聖地の現地情報や小説の感想を綴っています。【実績:ゆるキャン△聖地(静岡西部)完全制覇・マケイン聖地完全制覇等】他にも貧乏旅行スキル、城郭、登山、温泉の記事を更新中。

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【この記事の焦点】
・チラムネネタバレ感想(五項目に分けて)
・愛を語る


朔かヒーローか?

紅葉と朔の関係性もようやく整理されました。

秋を望む紅葉と終わらない夏を望むその他のヒロインと朔たち。だいぶ物語を書きまわしてくれましたが、今回で出番もひと段落でしょうか。最終的に一人の男として紅葉と向き合った後、悠月によってヒーローとしての自分を思い出す朔。ヒーローとして、屋上の鍵を渡すことで居場所をあげる。最終的に素晴らしい着地となりました。紅葉にとっても、美学を重んじる朔と悠月にとっても、その他のメンバーにとってもしこりの残らない形になりましたね。

私は紅葉の想いが報われた気がして、思わず「良かったなぁ」と感嘆の声を上げてしまいました。物語が朔の一人称視点なので、基本的には朔に肩入れしています。そのせいか私まで、本当の後輩のように思っていたので最悪の展開にならなくてよかったなとまずは一安心です。

また、朔に肩入れしているからこそ、読者の私たちにも葛藤が生まれます。一人の男として向き合うべきなのか? はたまた自分の美学を重んじて千歳朔というヒーローとして接するのか? これは人によって意見が分かれるのではないでしょうか。私自身は、朔がステージ上で紅葉の告白に対して口を開いたときは、これが紅葉にとっても最善だと思っていました。ですが、悠月の魂の叫びで朔と同様に目が覚めました。

全員が惚れたのはヒーローとしての朔なのだと。

それを気づかせてくれるのは、言えるのは似た者同士の悠月だからこそ。
ヒロインとして強すぎますね。悠月あっぱれ。

ここで朔の弱さを見ることが出来るのが、チラムネのいい所です。ヒロインと最強主人公が持ちつもたれずで成長していく姿。自分と相手の気持ちに向き合って、間違いながらも正解を探し出す。これが青春の輝きですね。泥んこになってぶつかって……。正直20代の私からしたら青臭すぎて、死にたいぐらいです。朔がただの最強主人公じゃないところが、この物語を読み続けている理由なのかなと今回を経て思いました。弱さも強さも青春に包まれれば、全て輝く。自分の青春を見返してみても、朔のような物語は紡ぐことが出来ませんでしたが、どことなく共感できる学際の雰囲気、友達との何気ない会話。全てが私の記憶を弄ぶ。まぁ朔にならいいかなと思いながら、今回も読み終わって軽いうつ状態。

秋への道しるべである紅葉。本人は不本意でしょうが、正しい秋へみんなを導いてしまったのでしょう。紅葉にも今後出番はあると思いますが、一旦はありがとうございましたかな。


むごくも美しいクライマックス

ステージ

お次は劇について。

正直語るところが少なく、8・9巻を鑑みて、ほぼ出来レースでした。悠月を選ぶんだろうなとは内心思っていました。

それにしても物語構成上むごい着地になったなぁと。

その日の主演女優賞を決める話だったんですよ。8巻の時点でそういう話になっていて、なずなちゃんも朔にわざわざ言い訳を与えていたんです。読者目線からでも、その言い訳はありがたいものであることは確かなわけで。それは、誰が推しであろうとです。

なのに、その日の演技を一切見ないで選ぶという展開にしてしまう。ああ、なんとむごい。夕湖の気持ちを考えると、胸が苦しくなる。それでもなお寛大な心で受け入れる夕湖に涙が止まらない。内心分かっていたのでしょうが、前振り段階で金沢旅行のエピソードを語らせたのも凄く効いていなと思いました。

私は夕湖推しではないんですが、どことなく俺ガイルの結衣(推し)と重なってしまうので、6巻ぐらいからずっと胸が痛い。負けヒロイン臭もありますし、マケインに参列できるレベルの立ち位置になってしまっています。劇のセリフをカットされて、完全に暗雲姫にスポットが当たっていますから、物語のエッセンスにはなっているのですが、感情移入してしまうと鬱。

勝者と敗者がいるから物語が面白くなるので、ここからの巻き返しに期待します。

筆者
筆者

ガンバレ夕湖!


キャラに委ねる物語

ここは劇の展開に付随する感想ですが、今回の悠月に肩入れする展開は、納得のいくものではありました。確実にあの夜を越えてしまった二人。優空・明日風・陽にもスポットは当たっていましたが、全て悠月のおまけみたいになってしまっていて……。あの夜をほのめかしたり、二人で笑い合ったり。もうね、他のヒロインとの格差が徐々に広まっているわけですよ。普通のラブコメだったら、物語のクライマックスまで平等に、もしくは完全に勝ち筋が消えた上で出番が与えられるものですが、チラムネは違う。この格差に悲しみを持つ人も一定数いるのではないでしょうか。

もちろん私もその一人。

でも考えてみてください。

青春真っ最中の男の子があんな夜を過ごして、全てさらけ出してしまったら悠月しか見れなくなるに決まっている。自分だったと仮定して、何度無駄な妄想をしてみても、9巻のような展開になってしまう。

それは裕夢先生がキャラに委ねてるから生まれる物語。裕夢先生の対談動画では、私もどうなるか分からない(ニュアンス)とおっしゃっていた記憶があるので、構想もあると思いますがそこまでキャラを信頼しているということなのです。だから朔が動いて作画考えて進む。

この臨場感が、非日常を日常に換える魔法。遠すぎる話のようで確実に僕らにもあったモラトリアム。等身大で描かれているからこそ、こんなに他人事の青春に胸を痛めることが出来るのではないでしょうか。最高です。


わいの推しは……?

陽ちゃんは……

陽ちゃんは……

二人三脚よかったよ。可愛くて最高だったヨ。

でもね、物足りないの。勝てるビジョンが見えないの。

4巻を見てから全力で応援してきましたが、裕夢先生は曇らせが好きなんですか? 陽ちゃん嫌なことばっかじゃないですか。悠月にも抜かれて苦しんでるし。朔君は野球部に戻りなさい。4巻の感想は、ここに書いていないのであまり触れませんが、とにかく全力まっすぐ陽ちゃんを応援します。私自身がスポーツをしてきた人間であり、身長がコンプレックスでもあったので、感情移入しちゃうんですね。バスケもやっていたことがあるので、辛さがよく分かる。辛さを噛みしめて噛みしめて、何度枕を濡らしたか。陽ちゃん、もう僕のところに来ればいいのに……。なんてね。


文化祭×チラムネ

イメージ
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青春。チラムネに体育祭と文化祭が到来してあっという間に過ぎ去ってしまいました。まるで台風のように、私たちの心を荒らすだけ荒らして去っていきました。こっからどう日常を過ごせばいいんだよ。

実は私も応援団やったことがあるので、凄く共感できるんですよね。恐れながら。あの頃が一番青春してたかもしれません。演舞の構成をみんなで考えて、一生懸命練習して、普段話さない人とも話して、全力で汗かくんです。その汗こそ今思えば一番のきらめきだなと思います。踊って戦って、ガールズバンドまで。全部てんこ盛りの体育祭でした。もはやお腹一杯。

ちなみに私が応援団出たときも最優秀賞応援賞的なのを貰ったので、わかりみが深い。あの後の打ち上げも楽しかったなぁなんて考えながら、あの頃に思いを馳せていました。こんなしょうもないことでも全力でできるのは、学生だから。

私の好きな本の中にこんな言葉が出てきます。

「大学に入るまで人生は始まっていない。暗黙の内のそういうことになっている」

これが全て。もしも今学生の人がいるのなら全力で楽しんでくださいね。地獄で待っています。


終わりに

チラムネ9巻
チラムネ9巻

千歳くんはラムネ瓶のなか9巻4.6

当たり前に今季最高点。正直、チラムネは4巻以降は、全巻カンストしているので平均点がやばいことになっている。びっくりするぐらい全部面白い。

そして、チラムネアニメ化決定!!

はしゃぎたいのですが、正直不安しかないのが私。裕夢先生の世界観あってのチラムネだと思うので、アニメ会社とか主題歌とかによってかなり左右されるんじゃないかなと思います。この遠回りで青臭い世界がどんな風に描かれるのか。京都アニメーションみたいな透き通るような作画じゃないと不安です。本当にお願いします。

今回はここまで。ありがとうございました。

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