僕は友達が少ない(著:平坂読)

【僕は友達が少ないあらすじ】
友達ゼロの主人公:長谷川小鷹は、目つきの悪さと金髪により周囲から恐れられていた。聖クロニカ学園に転校しても相変わらずぼっちであったが、同じく友達ゼロの三日月夜空と出会い『隣人部』を設立することに。理事長の娘である柏崎星奈をはじめとする個性的な仲間と共に、今日も『談話室4』では騒がしい日常が繰り広げられる。残念系美少女との青春ラブコメディ。『略:はがない』
今回は大人気ライトノベル『僕は友達が少ない』を全巻読み終えた私の一人語りです。作者は平坂読先生。他にも『妹とさえいればいい』などの人気シリーズも。私自身『妹さえ』はアニメで視聴したことがあるのですが、実は『はがない』を見たことがありませんでした(自称オタクなのに申し訳ありません)
そのため何かラノベを読み通したいと思った時に、真っ先に浮かんだのが『はがない』でした。読み通していて、王道ライトノベルに相応しい個性的なキャラクターを操る平坂先生の凄さを実感することに。今回は私が『はがない』を読んで率直に感じた感想を綴りますので、最後までお付き合いください。

自身の『はがない』論がある方はコメントお願いします!
ちなみにネタバレ有です。
【今回の記事の概要】
・誰も選ばないEND
・ありのまま生きる難しさ
・一番印象に残ったシーン
誰も選ばないEND

全てをしょい込んだ小鷹。あくまでも友達作りを貫き通し、誰も選ばないENDで幕を閉じた『はがない』らしさは唯一無二だと思いましたね。セオリーなら誰かを選んで終わるのがラブコメディですが、流石に誰も選ばなかったのは驚きでした。友達作りに重きを置いた作品であることは重々承知していましたが、誰も勝てないとなると、それはそれで心の中に蟠るものがありました。
分かってるんですけどね。これが一番『はがない』のENDに相応しいことは。
一番側にいた夜空がガッツリ振られ、男だった幸村と付き合う。星奈に関しては『好きだけど我慢してくれ』というグチャグチャ具合。もう小鷹の何を信じたらよいのか分かりませんでした。
このカオス感、かなりジワる(笑)
幸村との『せっくす』と隣人部を天秤にかける11巻。小鷹と付き合った幸村が隣人部を辞めて、最終的に戻ってくる構図は、友達作りを目的として青春に相応しいクライマックスだったなと思います。
最後に究極の選択を通して隣人部の絆を再確認する。原点に返り、王道ながらも個性的に磨かれた『はがない』の魅力が存分に発揮されていました。ここまでの過程は、小声で気持ちを吐露するヒロインを見て見ぬふりをし続けていた小鷹による自己犠牲で成り立っていたぬるま湯でした。ですが、8巻の屋上にてぶつかった小鷹と理科を発端に、互いに恋心をぶつけ合い最後に本物として友情を分かち合ったこのクライマックス。ほんと、最高でした。
ライトノベルに置いて『友情』の一番の弊害は『恋心』である。
セオリーなら逆なんですけどね。
真逆をいく小鷹、私はとてもカッコいいと思いました。自己犠牲の下関係性を保とうとするラノベらしい主人公(ex.俺ガイル)でありながら、真っ向から『恋心』を跳ね返した唯一無二の主人公です。全員が笑い合えるENDをありがとう、小鷹。
実は推しが決めれなくて困っていたんですよ(笑)
星奈も夜空も好きだったし……。
では次に行きましょう。
ありのまま生きる難しさ

現実に妥協ができない残念な人たち。これが一番カッコいいだろう!
特に夜空。私は彼女の生き方が好きでした。口下手だけど真っすぐな信念を持っている。
ヒーローに憧れ、妥協を許さなかった彼女。友達づくりのために自身の能力に妥協しなかった星奈。自身のコンプレックスを貫いた小鷹。それが本来あるべき人間の姿だと私は思いますが、現実ではそうもいきません。分かり合っていくためには時に妥協も必要である。それが人間関係であることを分かっていながら己を貫いていた彼らから学ぶべきことは多いです。
生きるのが難しい世の中ですが、妥協しなかったからこそ真の友人として、いや戦友として結ばれた彼らの姿に、もう少しだけ夢を見たくなりました。私も別に友達がいる人間ではないですし、少しでも許せない部分があると心を閉ざしてしまう癖があることを知っています。『そういう自分を変えないとな』なんて最近は思っていましたが、もうちょっと頑張ってみようと思います。私は学生でないですし『隣人部』を作れる環境はありませんが、自分から行くことは忘れずに、頑張ろうと思えました。
ありのままで生きるのは難しい。だけど、ありのまま生きるから得られるものもある。
妥協の度に心にこびり付くあのもやもを、『はがない』のような物語で浄化しながら私も頑張ります。
一番印象に残ったシーン

私はやっぱり、夜空の告白シーン。
『一度しか言わないから魂に刻め』
『小鷹~好きだぁ~~!』
【11巻P.143より引用】
夜空ちゃん……遅いけど、それがいい。
そしてあっさり振られる夜空もいい。
友達として誠意を見せた小鷹。10年前の思い出が大事だったからこそ、友達としてしか見ていなかった。引っ越しの日に会えていたら付き合う未来もあったのかもしれないけど、これでいい。戦友の二人が私は大好きです。
言葉では言い表せないことは二人ともよく知っていて、それでもあえて名前を付けることで、俺たちはここに一つのケリをつけたのだ。【11巻P.152より引用】
長いようであっという間だった二人の確執はこれで幕を閉じました。
というかセミロングの夜空可愛すぎませんかね(笑)
終わりに

【はがないラノベ版まとめ】
・恋心より友情を選んだ最高の主人公。
・妥協を許さない各キャラクターたち。
・不器用だけどカッコいい夜空。
・唯一無二の青春ラブコメ
今回はラノベ版『僕は友達が少ない』を読んで総括しました。
アニメ版を見たことがない私でも、非常に印象深いキャラクター達。まさしく王道ラブコメでありながらも、未踏の結末を描き切った平坂先生、凄い。
今度アニメ版も見てみましょうかね。アニメで星奈ちゃんを拝みたいと思います。
今回はここまで。ありがとうございました。
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